大義無き戦闘地域に自衛隊が向かって良いのか

ニューズウィーク。
<トランプの狙いは、米大使館へのテロ行為への報復と同時に、イランとの緊張状態を恒常化させて米国内での政治的求心力を高めること>。
イランの革命防衛隊に属するクッズ部隊のソレイマニ司令官を、トランプ大統領が命じて殺害させたというニュースは、連日大きな扱いとなっています。
この事件ですが、トランプ大統領としては、イラクの米大使館などに対するテロ行為への報復であると同時に、イランを挑発して緊張状態を恒常化し、原油高を演出しつつ、米国内の政治的求心力を高める作戦として実行したと考えられます。
同時に、年明けから本格化するはずだった議会上院における「弾劾審査」や、2月のアイオワ党員集会、ニューハンプシャー州予備選で公式にスタートする民主党予備選の報道について、イラン問題が覆い隠すという効果も計算しているでしょう。
実際に年明けのアメリカのメディアはこのニュース一色になっています。
また、昨年末以来、ニューヨークを中心に頻発している「反ユダヤ」のヘイトクライムについて、「トランプの白人至上主義に触発された」という声が出てくる可能性があるのですが、イスラエルの仇敵であるイランとの確執をエスカレートさせることで、この種の批判を防止するという効果も計算しているかもしれません。
さらに言えば、反政府ジャーナリストのカショギ氏暗殺事件以来、ギクシャクしていたサウジアラビアとの関係を改善し、あらためて「アメリカ=サウジ連合」が「イラン、シーア派イラク民兵、イエメン民兵」などと対立する構図を強化したかったという見方もできるでしょう。
もっと突っ込んで言えば、9.11テロへの報復としてアフガニスタン戦争、イラク戦争に突っ込んでいったジョージ・W・ブッシュが「戦時の大統領」として支持率を上げたという事例を再現したいのかもしれません。
トランプ側の動機はともかく、事件が報じられて以来、政局はかなりの混乱状態に陥っています。
基本は「より激しい分断」が起きているように見えます。
共和党の議員団は大統領支持でほぼ団結している一方で、民主党の側は議員団も大統領候補もトランプの判断を厳しく批判しています。
そんな中で、中東情勢の複雑化を受けて、軍事外交の経験の薄いエリザベス・ウォーレン候補への支持が低下するとか、反対にアフガンでの軍歴のあるピート・ブーティジェッジ候補への期待が高まるといった現象も起きているようです。
<イラク増派部隊の士気は低い>。
共和党や政権内にも造反が起きています。
ランド・ポール上院議員などは「相手の司令官を殺害しておいて、外交交渉のテーブルに就こうなどというポンペオ国務長官はブレーンデッド(脳死状態)」だなどと手厳しく今回の攻撃を批判しています。
また大統領が「敵側は爆弾テロなどやりたい放題なのに、こっちは文化施設攻撃は違法だから遠慮などということはあり得ない」とツイートして、文化施設(モスクなどを遠回しに表現したもの)などイランの52カ所の攻撃目標を示したという問題については、大統領の忠臣と思われていたエスパー国防長官が「国際法違反なので攻撃は不可能」と発言しています。
その国防総省では、イラク政府の「外国軍の駐留を禁止」する決定を受けてイラクから米軍を総撤退させるのか、あるいは反対に増派するのか混乱していました。
結果的に、3000人の米兵を増派することが急遽決定したのですが、その主要な目的としては、バグダッドの米大使館の警備に行くというのです。
対象となった部隊の映像を見ると、士気は低そうでした。
目的がなく、正義がない一方で、イランの報復攻撃の第一の標的とされる危険がある中で、非常に困難な任務になるのは目に見えています。
しかも、現地イラクの政府は、アメリカが膨大な犠牲を払って樹立し支援してきたにも関わらず、米軍を敵視しています。
このような現状のなかで、トランプのソレイマニ殺害の結果として、イラクに派遣される米兵の心理は大変に複雑であると思われます。
このような現状を考慮すれば、仮に緊張状態がエスカレートしていったとしても、ブッシュのアフガン、イラク戦争のように「戦時」だから「国民や軍が一致団結する」ように持っていくことは難しいのかもしれない、そうした雰囲気も漂っています。
朝日新聞。
米軍に殺害されたイランの精鋭部隊・革命防衛隊のソレイマニ司令官(62)は、近隣国で自国の「代理勢力」の支援に深く関わっていた。
かつては戦争をした間柄である隣国イラクでも、イランと同じイスラム教シーア派の武装組織を支え、その後のイランの影響力拡大につなげていた。
革命防衛隊は、イランのイスラム体制護持のほかに対外工作や情報活動も担う。
対外活動の大きな役割の一つが、近隣国での親イラン勢力の育成や支援とされる。
レバノンのシーア派組織ヒズボラはその代表格だ。
シリア内戦でも、イランが支援するアサド政権側に立ち、ヒズボラなどの戦闘員が戦っている。
こうした「代理勢力」を媒介に、中東を東西にまたいで鮮明になってきたイランの影響圏は「シーア派の三日月」と称される。
1980~88年にイラン・イラク戦争をした宿敵イラクもその一つ。
同国でイランが影響力を特に強めるきっかけになったのは、2014年にイラクで「国家」樹立を宣言した過激派組織「イスラム国」(IS)の存在だ。
03年のイラク戦争でサダム・フセイン政権が倒れた後、シーア派が主導する政権が続くイラクでは、ISの進撃を前にシーア派最高権威シスターニ師が「武器を取り、治安部隊に参加せよ」という宗教見解を出した。
この呼びかけに応じた市民や民兵などで構成されたのが、シーア派を中心とする武装組織「人民動員隊」(PMF)。
創設時から、イランが武器や物資の供給、訓練、作戦指導まで全面的な支援を担った。
一昨年のイラク国民議会選では、IS撃退の功績を背景にPMFに近い政党が躍進。
ソレイマニ司令官も、イラクでシーア派勢力の結集を狙って選挙に介入したとみられている。
夕刊フジ。
米国とイランが一触即発の状況だ。
米軍が「テロの首謀者」として、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のガーセム・ソレイマニ司令官を殺害したことを受け、イラン側は軍事的報復を明言した。
これに対し、ドナルド・トランプ米大統領は「(米国に報復した場合)最新鋭の軍事装備品を投入する」「大きな打撃を与える」と警告している。
世界経済への影響も懸念されるなか、日本政府が昨年末に閣議決定した中東への海上自衛隊派遣に、左派野党やメディアが反対論を強めている。
ただ、原油の9割近くを中東に依存する日本が、同海域での安全航行から逃げていいのか。丸腰の民間タンカーを放置するのか。
イラクで殺害されたソレイマニ氏の遺体は5日、イランに到着した後、南西部の都市アフワズと、シーア派の聖地マシュハドに移され、大規模な葬儀が行われた。
マシュハドでは100万人以上が参列したという。国営メディアによると、参列した多数の市民は「米国に死を!」などのスローガンを叫んだ。
革命防衛隊のデフガン司令官は5日、米国への報復について「軍事施設に対する軍事的な対応になる」と明言した。
イランは5日、欧米など6カ国と2015年に結んだ核合意をめぐり、合意で規定されたいかなる制限も順守しないとし、無制限にウラン濃縮を行うと表明した。
ロイター通信などが伝えた。
シーア派が多い隣国イラクの首都バグダッドでは5日、旧米軍管理区域(グリーンゾーン)に2発のロケット弾が撃ち込まれた。
前日に続く攻撃で、犯行声明はないが、イラン側による報復の可能性が高まっている。
これに対し、トランプ氏は5日、ツイッターに「イランが米国民や施設を攻撃した場合、米国は即座に反撃する。恐らく不釣り合いなやり方になる」と投稿し、イランを牽制(けんせい)した。
トランプ氏は前日のツイッターでも、「(イランが)米国に対する報復をずうずうしく公言している」「これ以上の脅しはいらない」「(米国に報復した場合、イランの重要施設など52カ所を標的として)大きな打撃を与える」と警告しており、怒りのボルテージを高めているようだ。
「世界の火薬庫」となった中東の情勢をめぐり、世界各国は懸念を強めている。
国連のアントニオ・グテレス事務総長は声明で「世界にはペルシャ湾岸での新たな戦争に対応する余裕はない」と警告。
各国指導者らに「最大限の自制を働かせる」よう求めた。
こうしたなか、日本政府が昨年12月27日に閣議決定した、中東海域への海上自衛隊派遣が注目されている。
中東情勢の悪化を踏まえ、日本関係船舶の安全確保に向けた情報収集を行うのが目的で、2月上旬に護衛艦1隻を送り、アフリカ・ソマリア沖での海賊対処活動に当たるP3C哨戒機を活用する。
規模は260人程度。
哨戒機は1月中に活動を開始する。
活動中に不測の事態が生じた場合は、武器を使用できる海上警備行動を発令する。
海自派遣が、ソレイマニ氏殺害前の閣議決定で決まったため、左派野党が問題視している。
立憲民主党の枝野幸男代表は4日、三重県伊勢市での記者会見で、「(米軍の攻撃は)国際法上、正当化できるのか疑問だ」「中東の安定を損なうリスクが非常に高い」と指摘したうえで、「そんな中東に国会審議もなく自衛隊を送り出すのは、自衛官の安全を含めて大変由々しき事態だ」と批判した。
共産党の志位和夫委員長も同日、党本部の旗開きで、米軍の攻撃を「国連憲章を無視した先制攻撃、軍事的挑発行為だ」と非難した。党のHPには、「自衛隊の中東沖への派兵は、いっそう無謀で、危険極まりないものとなった」「自衛隊派兵の閣議決定をただちに撤回することを強く求める」との声明が掲載された。
ただ、日本は原油の9割近くを中東に依存している。
タンカーの安全確保は、日本経済や日本社会を支えるエネルギー供給の生命線に関わる。
加えて、イランの在留邦人678人(外務省、2016年10月)をはじめ、中東には多数の日本人が暮らしている。
自衛隊派遣には邦人保護という視点も必要ではないか。
日本政府は現時点で、海自の中東派遣方針に変わりはないようだ。
自民党の中山泰秀外交部会長は「日本の安全保障政策を、地球儀を俯瞰(ふかん)しながら考えることが重要だ。経済大国の日本が、自国船舶の航行の安全を自国で確保することは、世界の安定にもつながる。いつまでも他力本願で『日本の船を助けてください』と言えますか? 国際法上も、世界の常識でも『自分の船は自分で守る』のは当然。野党幹部の発言は的外れだ。厳しい中東情勢の下、現地に派遣される自衛隊員に『何ら憂えることなく、頑張ってほしい』と送り出す条件を整えることこそが、国益上も大切だ」と語っている。
中山康秀は勿論、先頭切って海上護衛艦に乗艦するのだろうな。
日本は何時から「軍事行動しなければ国際社会に発言権は無い」という前のめりな軍国主義国家に反動したのか。
6か月前、安倍晋三はテヘランに外遊しロウハニ大統領からは「戦争はしない」ハメネイ師からは「核兵器製造も保有も使用もしない、その意図はなく、するべきではない」という発言があったと世界に報じた。
アメリカとイランとの戦争を回避する為の仲介である。
イランは「アメリカとの対話の条件として原油の禁輸制裁の解除は不可欠だ」と軍事・経済両面で圧力を強めるアメリカとの相互不信の根深さを浮き彫りにした。
トランプファーストの為に、トランプの自己保身の為に、イラクに派遣されるアメリカ軍兵士には同情を禁じ得ない。
ドナルドトランプ・安倍晋三の如きチキンホークの老政治家は「算盤を弾いて損得計算」で他国と軍事衝突する。
若者を戦場に向かわせ、若者の血を流させる。
日本は平和憲法の国である。
海外で自衛隊が活動するのなら世界中から「自衛隊は世界平和の達成の為に活動している」と認められる必要がある。
「5回目の戦闘地域」となりつつあるペルシャ湾岸に「日本の石油タンカーを護る為にだけ」赴くなど、あってはならない。
自分の利益だけを考えているトランプと同レベルである。
中山康秀のような発言をする者は「平和ボケ日本」にしては意外と多い。
「他力本願」とは何かを学んで貰いたい。
軽々しく「他力本願」と使用した以上は、自分が率先して戦闘地に向かうべきである。

“大義無き戦闘地域に自衛隊が向かって良いのか” への105件の返信

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